胸郭出口症候群

各部位で起こる神経、動脈の絞扼に着目

上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢と鎖骨下動脈は前斜角筋と中斜角筋の間、鎖骨と第一肋間の間、小胸筋と肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりする可能性があります。

その絞扼部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群（過外転症候群）と呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上肢のしびれ、頸肩腕痛を生じる疾患のひとつです。

そのため、根本的な原因である絞扼を解決することが大切です。

手のしびれや筋肉のやせ

当院では胸郭出口症候群に対し、頚部の筋肉への手技施術をはじめ鍼灸、機器を使った筋膜リリースなどの様々な手段を用いてアプローチを行います。

洗濯物干しや、つり革につかまる時のように腕を挙げる動作で腕のしびれや肩や腕、肩甲骨周囲の痛みが生じます。また、前腕尺側と手の小指側に沿ってうずくような、ときには刺すような痛みとしびれ感、ビリビリ感などの感覚障害に加え、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状があります。

手指の運動障害や握力低下のある例では、手内在筋の萎縮により手の甲の骨の間がへこみ、手の平かの小指側のもりあがり（小指球筋）がやせてきます。

鎖骨下動脈が圧迫されると、上肢の血行が悪くなって腕は白っぽくなり、痛みが生じます。鎖骨下静脈が圧迫されると手・腕は静脈血のもどりが悪くなり青紫色になります。

筋肉の緊張を緩和する

鍼灸治療は、圧迫を加えている筋に対して緊張を除去し血液循環の改善を目的として行います。また治療は、上肢の神経の消炎鎮痛にも大きく影響を与えます。また、「首や肩の体操」も筋力アップ、筋肉の血行促進のため重要です。

首から肩、腕の筋肉のストレッチや血液循環を良好にする体操を行います。また日常生活での姿勢（仕事でのデスクワーク時や立ち仕事時）が原因となるため、鍼灸治療とともに患者自身が普段の生活で意識して改善を試みることが重要なポイントとなります。

そのため当院では、施術だけでなくご自宅でもできる筋力トレーニングや、日常生活で行う動作のアドバイスも行っております。